大晦日

 

 中学一年で同じクラスになって、それから毎年大晦日は一緒にいるように

なった。

 どちらかの家でまったり寛ぐ年もあったし、除夜の鐘をつきに並んだことも

あった。

 どちらかに、もしくは両方に恋人がいるときでも、大晦日は一緒にいた。

 何となく、約束して。

 何となく、同じ時間を過ごす。

 その日だけ特別に。

 今年はあっちに恋人がいて、俺はフリー。

 その状態は、もう三年目。

 あっちの彼女は毎年変わるけど。

 除夜の鐘が鳴りはじめると、恋人のところに行ってしまうのを見送る。

 厳かに鳴る、百八の鐘。

 俺は一人静かに、染み入るようなその音に、耳を澄まして年を越す。

 そうするのも三年目。

 自分の気持ちに気づいてから、これが大晦日の儀式。

 一年間溜まった煩悩を、こうして払って。

 また何でもない顔をしてお前の傍にいるための。

 来年も笑って、友達でいるから。

 今だけ、今だけ、少しだけ、泣かせて。

 

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