ぼくのいちにち。

 

 寝て起きて。

 腹が減ったら飯食って。

 戦闘って言われたら戦って。

 薬切れたらオッサンにもらって。

 汗かいたらたまに風呂入って。

 あとはずっとゲームする。

 そんな同じことの繰り返しの日常。

 でも。

 少しだけ楽しいこともある。

 

 

 

 音量を最大にしてゲームをする。

 イヤホンをつけて寝てんのか起きてんのかわかんないシャニは相変わらず

微動だにしない。

 でもオルガは。

 本を読みながら無関心な表情してるオルガは。

 その音に少しだけ眉を寄せる。

 その表情がたまんなくスキ。

 

 

 

 だから今日もオルガの近く、わざと大きな音でゲームする。

「うりゃー!」

 ゲームの音に慣れたのか、何の反応もなくなったオルガに、わざと大きな

声を出してうるさくする。

「だりゃー!」

 ゲームオーバーの音が一際大きく響き、これならどーだ、とオルガに視線

を向けた。

 眉を寄せ、睨みつけるように不機嫌さを顕わにするオルガ。

 その可愛い顔に思わず頬が弛みそうになるけど、そんな表情したら怒鳴り

つけられるだけでは済まないので我慢する。

「なんだよ?」

「……ウザイ」

 溜め息をついて顔を伏せたオルガに代わってシャニが呟く。

「うっせーな。てめーは寝てろ!」

「煩くて寝られないんだよ」

 シャニはそう言うとぼくの手からゲームを叩き落し、見るも無残な姿に

変えた。

「シャニ! てめー!!」

「……ウルサイ」

 イヤホンをつけ直し、アイマスクを装着してすっかり寝る体勢に入っている

シャニを怒鳴りつける。

 ゲームの音がうるさい、とか言いつつ、ぼくの怒鳴りは無視か!?

「いいか! よく聞けよ!?」

 そう言いつつ、聞いているのかいないのかわからないシャニに説教を

始める。

 それでもそ知らぬ顔で寝転がったままのシャニ。

 無視を続けるシャニを罵倒することにも飽きた頃、部屋にオルガがいない

ことに気づいた。

「あれー?」

 いつの間にいなくなったんだ?

 記憶を辿ってみても不機嫌なオルガの表情しか思い出せない。

 きっとデッキだろう。

 天気のいい日はたいていあの椅子で本を読んでいるから。

 そう予想をつけてぼくはデッキへ向かう。

「あ!」

 やっぱりいた。

「なんでこんなとこにいるんだよー」

 そう言いながらちょっとだけ太陽の匂いのする躰を抱きしめ、ムリヤリ椅子

に入り込む。

「うるせーからだろ?」

 オルガは狭そうに躰を捩り、それでも本を閉じてされるままになっている。

 それが嬉しくてぼくは更にオルガを抱きしめ、あったかい日差しに目を

閉じた。

「ごめん」

「しょうがねーなぁ……」

 

捧げ物