「待ってろ」 番外

 

「俺のこと、好きになったか?」

 夏目はことあるごとにそう訊いてくる。

 俺は2年待て、と言ったはずだが、待つつもりはないらしい。

「まだ3ヶ月しか経ってねーだろうが」

 テキトーに返し、俺は目の前のアスパラベーコンを頬張った。

 こんな単純な料理が何故こんなにうまいのか、と酔いのせいかそんな

どうでもいいことを考える。

「好きだろ?」

「は?」

「好きになれよ」

 洗脳しにかかっている夏目に白い目を向け、溜め息をつく。

「そのうちなってやるから、今は黙って食え」

 そういった瞬間、夏目は嬉しそうに微笑んで、でも、酔った頭ではそれが

何故だかわからない。

「わかった」

 笑顔のまま頷いて目の前の料理を食べ始める夏目に首を傾げながらも

俺は少し冷めたアスパラベーコンを口に放り込んだ。