お中元

 

「君、ダレ?」

 開けた瞬間、後悔した。

 このまま扉を閉めてやろうかと思ったが、そんなことをしたら後が怖い

ので、とりあえず声をかけてみる。

「お中元♪」

 と言いながら、首に真っ赤なリボンをつけた男が笑う。

「そりゃ、どーも。とりあえず入ってください」

 俺はそう言って扉を大きく開き、彼が入れるスペースを作る。

 こんな姿を近所の人に見られたら、何と言えばいいんだ。

「うん」

 彼はそれに素直に従い、部屋へ入った。

「で、お中元ってナニ?」

 どうしてこんなことを思いついたのか、とそう訊けば、

「ナマモノ」

 と的外れな答えが返ってくる。

「何? ってことはオイシク戴かれに来たってこと?」

「いらない?」

 彼は挑発的にシャツのボタンを二つばかり外す。

「いる」

 リボン以外のものをすべて剥ぎ取り、俺は彼をオイシク戴いた。

 こんなお中元もアリかもしれない……?

 

文月