イタズラ

 

「お菓子くれないとイタズラするぞ!」

 と、目の前にブサイクなミイラが現れた。

「ナニ、キミ?」

「ハロウィンだよ! ハロウィーン!!」

 と、汚らしいミイラはお菓子を強請る。

 お菓子……と言われても。

「さっき散々食ってたじゃねえか」

 ウチにあったものは粗方コイツに食われたあとだ。

「まだあるじゃん」

 意味深な視線を寄越しながらミイラは言う。

 ……そのカオはナニ?

「……コレ?」

 俺はそう言って舐めていた飴を舌先に載せ、ミイラに見せる。

「うん」

 ミイラはそれを満足そうに見つめ、そっと舐めた。

 そのまま俺の舌先から飴を奪い取ると唇を合わせる。

 

 

 ちょっと待て。

 唯一残ってた飴をやったんだ。

 

 

「イタズラはナシだろ?」

 

神無月