呪縛

 

 いいなぁ……

 クラスメイトに見せられた恋人との写真。

 彼に腕を絡めて幸せそうな彼女。

 いいなぁ……

 俺は昼間学校で見せられた友人と恋人の写真を思い出し、今日何度目に

なるかわからない溜め息をついた。

 

 別に実と腕を絡ませたいとか、そんなワガママ言うつもりはない。

 俺だって男同士の恋愛がどういうもんかわかんないわけでもないし。

 俺は世界中の人に見せびらかしたいくらい実が好きだけど。

 実以外必要ないと思えるほど強くはなくて。

 実だって社会人で。

 俺とのことを公に出来るような立場じゃないし。

 わかってる。わかってるんだ。

 でも。

 ウチにいるときくらいイチャイチャさせてくれてもいいんじゃない?

 それも俺のワガママか?

 

「まーこーとー」

 そう言って抱きつけばウザそうに顔を顰める実。

 うぅー、いくら慣れてるからって結構傷つくんだからな!

 でも知ってるもんね。

 そんな顔したって実は俺が好きだってこと。

 女にダラシナイ実が俺と付き合うようになってからは一度も浮気はしてない

こととか。

 よくて半年が限界だった今までの恋人たちと違って、俺とはもう2年も付き

合ってるとか。

 ろくに恋人の名前も覚えなかった実が俺の名前は忘れないとか。

 まあ、人として当たり前だろうそんなことに優越感を感じる俺はどうなんだ

ろうというところなのだけれど。

「実、」

 キスを仕掛ければ自分から舌を絡める。

 綺麗な髪に指を絡め。指を絡め合い。

 押し倒して絡まって。

「あっ」

 そうか。

 腕じゃなくても絡めてる。

 いつも、いつも。

「?」

 急に声を上げた俺を実が不思議そうに見上げる。

 この潤んだ視線が堪んない。

 

 俺の腰に絡みつく、実の長い足。

 堪え切れなくなるときつく締めてきて。

 どこまでも深く絡まることを求めてる。

 意地っ張りな態度と素直な躰。

 腕を絡めて街を歩くことはできなくても。

 深く、強く、絡まりあって。

 解けないように。

 潤んだ瞳でくちづけを強請られ、それにまた絡められる。

 一生解けないような、実への愛しさ。

 

君といつまでも。