意地悪な男
久しぶりの修さんとのデートだというのになんだあの女は!? 「修さん!」 見知らぬ女を睨みつけながら修さんに近づく。 ねえ、誰、この女? 「ほら、連れ来たし」 ごめんね、なんて俺には見せない笑顔を見せて。 あー! それだけで俺がイライラしてるって気づいてる? 俺のなのに! 修さんは俺のなのに!! 「行くぞ」 そう言ってさっさと歩く修さん。 酷くない? 今日ってデートでしょ? 「修さん、さっきの誰?」 「知らない。声かけられただけ」 「なんで笑いかけたりするの?」 「別に」 「修さん!!」 どんどんと先を歩く修さんの腕を掴んで振り向かせる。 「うるさい。おまえには関係ないだろ?」 なっ……!! 関係ない!? 「関係なくないじゃん! 恋人でしょ? 俺はこんなに好きなのに!!」 酷い!! 好きだからヤキモチだって焼くんだよ!? 「はいはい。俺もスキだよ」 怒りをアピールする俺の頭を修さんが子供にするみたいに撫でる。 全然恋人扱いじゃない!!
あー、ホント馬鹿。 冗談みたいに吐き出された言葉。 これを言うだけで、俺にどんだけ勇気が必要だったと思うの? 自分なんていっつも男も女も関係なくナンパされてるくせに。 俺だって怒ってんだよ? これくらいのイジワル許されてもいいんじゃない? |