せっかく夏だし
「修さーん、せっかくの休みなんだよ? もっとイチャイチャしようよー」 いつものように修さんの部屋へ来て、顔を顰める修さんを抱きしめる。 せっかく夏だし、休みだし。 どこに出掛けられなくても、ふたりでイチャイチャしたいじゃん? 「鬱陶しい」 そう言って修さんは何とか俺の腕を外そうとする。 酷いなー。 恋人なんだからいつでもそばにいたいと思うでしょ? 「暑苦しい」 それでも離れまいとする俺に修さんは辛辣な言葉をかける。 空調バッチリの部屋。 全然暑くなんてないはずなのに。 「修さん、酷いよ。俺たち恋人でしょ?」 そう言ってちょっとだけ腕を緩めて修さんの顔を覗き込む。 「それがどうした?」 俺の言葉なんかほとんど無視で、どうやって腕を外そうか考えてる表情。 「ホントは俺のこと好きなくせにさ……」 わざと修さんに聞こえるように呟いて溜め息をつく。 殴るか蹴るか。鬱陶しいと言われるか。 色々覚悟はしていたけど修さんはなんの動きも見せない。 どうしたのかと顔を覗き込めば。 「バカ……」 見たことないくらい真っ赤な顔の修さんが。 「えっ? えっ?」 マジ!? もしかして修さん俺のこと好きなわけ? うわー、どうしようー。 すっげー嬉しいんだけど。 思わず緩めていた腕に力を入れる。 このままメチャメチャにしたい! 「やめろ」 さっそく押し倒しに掛かった俺に修さんの声が聞こえる。 しかも。 さっきまでの甘い雰囲気を感じさせる照れ隠しの声なんかじゃなく。 「鬱陶しい」 いつも通りの冷たい言葉。 「しゅ……修さん……?」 ねえ、俺ってホントに愛されてんの? |