愛のカタチ

 

 別に目を引く容姿をしていたわけじゃない。

 一般平均より少し高めの身長。

 しかしその割には痩せすぎていた。

 何も映していないかのような瞳はそれでも確かに俺を見て微笑ったのだ。

 

 嘘臭いと思っていた一目惚れを体験した瞬間だった。

 

 

 

 すぐに近づき、声を掛けた。

 彼は無表情のまま俺を見ようともしない。

 それでも思い出したかのようにたまに打つ相槌が俺の存在を許している

のだと思わせた。

 

 知れば知るほど彼は不思議な人物だった。

 異常なほどの面倒臭がりや。

 口数も少なく、何を考えているのかもよくわからない。

 それでもたまに見せてくれる笑顔がやっぱり大好きで、何でもしてあげた

くなってしまう。

 

 彼を深く知っても嫌いになんてならないし、放っておいたら死んでしまいそう

で、俺が世話してやらなきゃ、という気にさせる。

 

 これは運命だったんだろうと思い、らしくもなく、神に感謝してみたり。

 このまま一生春希のそばにいられたらいいのに。

 まあ、俺以上に春希を満足させてやれる奴なんていないんだけどね。

 

掌編